この実践は正進社の中学校向け美術資料集「表現と鑑賞の資料」に掲載させていただきました。(2001年4月〜) | ||||||||||||||||||||
マンガは「吹き出し」というひとつの形態を生み出しました。それは実際に本人が絵を描かずに、写真であっても適した「吹き出し」を入れることにより、マンガとなりうるのです。 ご存じのように、新学習指導要領の中学校美術科では、新しく「漫画」と「コンピュータ」での表現という言葉が明記されました。マンガで表現とは、あくまでもマンガ的な表現を使うということで、有名キャラクターをそのまま登場させてよいということではありません。そういう点では「吹き出し」を使って表現するとは、まさにマンガ独自の表現方法であり、それを絵が苦手な生徒でもフリー素材の画像を使うことによって、発想したことをすぐに表現に結びつけられると思い、実践してみました。 |
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題材名「○○の一言」コンピュータを利用した利点は、画像を合成しやすいという点と、昨年度の「イメージチェンジ」同様、鑑賞にhtmlを利用しているからです。私の作品例をご覧ください。縮小して表示していますが、それぞれの画面はディスプレイいっぱいに表示され、画面をクリックすると、次の画面が表示されるようになっています。これにより、マンガのページをめくるように、次の展開はどうなるだろうという期待を持って鑑賞できます。 画面をもっと増やすことは可能ですが、制作に時間がかかりすぎるとの判断で、題名以外に2画面としました。
導入で生徒に渡した学習カードの一部です。 内容の説明 「○○のひと言」とは、人間の代わりに動物や植物や物にひと言を言わせてほしいという題材です。 条 件 1.絵はすべて横構図とします。理由はコンピュータで見るときに横の絵の方が全体を見ること ができるという点と、フリー素材のほとんどが横構図の写真だからという理由からです。 2.画面はひとつのポスターで2画面を作ります。動植物や物のひと言は、マンガで言えば 吹き出しで入れるものとします。 2画面目の画像は、1画面目から変わってもいいし、吹き出しだけの追加でもいいです。 透明シートをうまく使い分けてください。実際に見るときはクリックすると画面が切り替わり ます。 (注:透明シートとはレイヤー機能のこと) 3.動植物、物にある程度の描きこみはいいです。例えば目が笑っている、怒っている、 驚いている、口が笑っている、植物や物に顔が付いている、などです。しかし、禁止事項に あるような内容はいけません。 あくまでもユーモアを感じたり、センスのある内容であってほしいものです。 禁止事項 1.フリー素材は著作権を放棄した画像です。これらを使うことは著作権法違反とはなりません。 しかし、キャラクター関係、有名人などは著作権法違反、肖像権違反となります。 そういう画像は使ってはいけません。 2.低俗な内容、残酷な内容、モラルのない内容、すべて禁止。 例えば動物の顔、人間の顔をほかの動物などと替える。血が出ているなど。その他、 見た人が不快に感じると思われる内容はすべて禁止。 あとは、合成のしかた、保存のしかた、フリー素材の使い方など細かな説明が続きますが、使っているソフトやその学校のコンピュータ環境によって変わる内容なので省略します。 |
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使用ソフトは昨年度同様、日本文教出版「ポスターをくふうする」です。 制作にレイヤー機能は必須なので、要するにレイヤー機能機能を持っているグラフィックソフトでしたらなんでも結構です。 |
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生徒作品は、保護者の方と本人の承諾が必要なので掲載していません。 鑑賞方法は他のクラスは学校のサーバーの校内のイントラネットに作品をおいて鑑賞し、クラス内の鑑賞はプロジェクターで大きく映して各自がコンピュータを操作しながらプレゼンテーションのように発表しながら鑑賞しました。 |
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フリー素材について 今回フリー素材を集めるのには一番苦労しましたが、最終的に約3,000個集めることができました。 これを読んでいる方の中には、フリー素材を合成して作るなんてオリジナルなのかといった異論を唱える方がいるかもしれません。しかし、これはある意味では電子コラージュと言えるでしょう。雑誌を切り抜いてきて貼り合わせて作品とする。これはコラージュと言って昔から行われてきた表現方法であり、今回はコンピュータを使うことによって、制作しやすくしたり、鑑賞方法に変化を持たせているわけです。 自分が選んできた素材をどう料理して作品として仕上げるか、これが現代に求められている情報活用能力であり、美術的に言えば発想力を高めるということにつながります。 |